2018年11月17日(土)・18日(日)に、「第48回 子どもの組織を育てる全国集会inさいたま」に参加しました。
群馬からの参加は6人でしたが、全体では東京、大阪、京都、福岡、神奈川、愛知、静岡や地元埼玉から、2日間で191人が参加しました。
1日目は、地元埼玉の少年団が活動の様子や地域の紹介をし、その後記念講演へと移りました。
【記念講演】
記念講演は、早稲田大学名誉教授で、長年にわたって少年少女センターの活動に携わってきた増山均さんが行いました。
増山さんには、少年少女センターの活動が子どもの成長にとってどういった重要性を持っているかについてや、子どもが育つこと(「発育」という表現を使っていました。)における、アプローチの形について、わかりやすく話をしていただきました。
また、日本が批准している「子どもの権利条約」について、そこにうたわれている権利の形を、具体例も出しながらわかりやすく話していただきました。
【講座】
その後、5つに分かれてそれぞれ講座がありました。
ブログ担当が参加したのは「今を生きる子ども・青年への共感と希望」という題で、一般社団法人子ども・若者支援ネットワーク代表理事の白鳥勲さんが講師を務める講座です。
その他にも、表題だけご紹介すると「新しいつながり歌・遊び」「先輩が語る~今伝えたいこと~」「子どもロコモとその対策~最近の子どものからだと異変~」「子ども組織とは何か」といった講座がありました。
「今を生きる子ども・青年への共感と希望」では、白鳥さんが行っている、学習支援の取り組みについて、難しさややりがい、喜びや現実的な問題、そして、この取り組みを続けていくモチベーションとなる思いや現役の教員をしていた時代に大切にしていたこと(そこから今につながっているもの)などについて、約1時間半、ほぼノンストップでお話しいただきました。
非常に濃密な1時間半で、短く感じたしもっと話を聞きたいと思いました。
かいつまんで書くと、まず白鳥さんの学習支援活動は、もともとは貧困家庭の子どもの学習支援として、中学生を対象に始めたものが、その子どもたちが高校に進学してからのケアや中学生の弟妹のケア、また、中学進学前に必要なケアを行うなどしている中で、どんどんと対象を広げていき、現在は小学生から高校生までをサポートし、埼玉県内で8か所の事務所、80人の専任スタッフと1000人のボランティアを擁し、1600世帯をケアするまでに至ったというものです。
白鳥さんは、現役時代は高校の教員として勤め、その後要請を受ける形で現在の活動を始められたそうです。
詳しい内容を書いていると、終わらなくなってしまうので、非常に印象に残った2つの言葉だけを紹介します。
「福祉を削ることは、未来を削ること」
「日々の成果は出ない。けれども、長期的には光が差す」
これらは、白鳥さんの活動における根本的な考え方を表すとともに、私たち少年少女センターの活動においても非常に重要な、含蓄ある言葉だと思います。
【交流会】
講座後、いくつかのテーマ別に交流会を行いました。
少人数の交流会だったため、時間は短かったのですがみんなと話もできて、良いものでした。
【分科会】
2日目は分科会で、5つのテーマに分かれてそれぞれレポートを持ち寄ったり、様々な話し合いなどを行いました。
ブログ担当は「子どもと遊び」という分科会に参加しました。
なお、その他には「子どもとの関わり」「青少年のリアルと少年団活動」「子ども集団の自治を探る」「おとなの役割」「10代のしゃべり場~中学生・高校生の本音トーク~」といった分科会がありました。
「子どもと遊び」では、各地域が自分たちの地域で行っている遊びを持ち寄り、それを実際にみんなで行いながら、「この遊びのときにはこういったことを意識した方がいい」といった話や、「自分の地域で行うときにはこんなふうにしたい」「この遊びは、できる年齢層が限られる」など自分の活動と今回得たものを照らし合わせながら、それぞれが新しいものを得ていきました。
とはいえそこは、遊ぶのが大好きな指導員たちです。実際に遊んでみる場面では、全員本気で楽しみにいっています。
実はこの分科会、例年、「全国集会は行きたいけど、なんか話し合いばっかりみたいになっちゃうのはちょっと・・・」という比較的若い指導員が一定数入ってくるという噂(ブログ担当調べ)なのですが、今年非常に印象的だったのは、お昼ご飯をみんなで食べているとき、すごく楽しく雑談をしていたのですが、いつの間にか内容が自分たちの地域の悩みなどの話になっていて、ただ別に「話し合いをしようとした」というわけではなく、ただただ自然発生的に、各々が言いたいこと、話したいことをぶつけあっていて、なんというか・・・・ものすごくいい空気でした。
そんな、若い子たちが話しをしている様子を近くで見ていた、全国集会に初めて参加したというあるお母さんは、「こんなに若い、それこそ高校生くらいの子たちが、こんなにも真剣に子どもたちのことを考えているって・・・」と言ったところで、私も「わかります。奇跡みたいな光景ですよね。」と継いだら、「ほんとにそう!」と、目を輝かせていました。
実際に、ここで話していた高校生や大学生の世代の子たちには、事情あって学校を休むことが他の子よりも多い子もいれば現役の慶応大生もいて、かと思えば高卒で働いている子も、「普通に」高校に通う子もいます。そしてそこに貴賤はなく、同じ思いとして子どもたち(自分たちの下の世代)のことを真剣に考え、悩み、その成長をよろこんでいます。
本人たちにとっては、それを当たり前のこととしてこれまでを生きていたこともあり、特別な意識はないのかもしれませんが、これほど未来に明るい話はないでしょう。
「自己責任論が独り歩きしている今の時代は、助け合うとか、誰かを支えるといった関係性が、どんどんと希薄になっている」というのは、これは前日の講座の中で出た言葉なのですが、実際にそう感じます。
そんな中でも、こういった意識を持つ若い子たちが、自分の利益ではなく、というより、それ(子どもの成長や変化)こそを自分の喜びとして活動をしているというのは、奇跡と言うに足るだけの価値がある、と、ブログ担当はこの時を振り返って思いました。
【さいごに】
最後に、群馬から参加した大学生の生の声から、一部を抜粋して紹介します。
いろいろな地域の人と話をすることができたのが楽しかった。初参加で不安が大きかったけど、初めてでも話しかけてみたらみんな歓迎してくれるこの空気感、大好き。
単純に抽象的な「子供を楽しませる」じゃなくて具体的にそのためにはどうすればいいのかを改めて考え直すきっかけになった。指導員はどうあるべきか、指導員はどういう存在か。
分科会で、参加者が相談している悩みに対して「その子の年齢は?」「全体の子供の人数は?」など、具体的な状況を把握していくことで、みんなで解決していこうとしている姿が印象的だった。
【来年は京都!】
こうして、濃密な1泊2日の全国集会が終了しました。
来年は京都での開催とのこと!
楽しみにしています。